31, 「 〜様邸 新築工事 」って変でしょ!
31, 「 〜様邸 新築工事 」って変でしょ!
街を歩いていて良く見かける工事現場の工事看板。住宅の工事であれば工事看板に表記されている工事名称の大多数が「〜様邸新築工事」となっています。でもこれって変な日本語だと思いませんか???現状での多数決になると「〜様邸」が正しい表記になってしまいそうですがそれでは「裸の王様」のように思うのですが皆さんはどう考えますか?
Thursday, February 17, 2011
31, 「 〜 様邸 新築工事 」って変でしょ! 2011.2.17
上の画像はアトリエたくの図面タイトルです。一番上の欄に横書きで工事名称が書かれます。
住宅であれば「 ○ ○ 邸 新築工事 」と記載されます。
又、工事が始まりますと施工業者が現場に工事看板を設置します。その工事看板にも工事名称
が記載されます。工事看板は通常施工業者が設置しますが、アトリエたく設計監理であれば図
面タイトルと同じように「 ○ ○ 邸 新築工事 」と記載をお願いします。 が、しかし世の
中は一般的に違うようです。ハウスメーカーの工事看板や図面タイトルはほぼ100%と言ってもいいほど「 〜 様邸 新築工事 」となっています。この「様邸」って何か変だと感じ
ませんか? 妙な日本語だと思いませんか?
以前からこの「様邸」を見る度に違和感を感じネットで少し調べてみますとやはり私と同じよ
うに「変な日本語だな〜」と違和感をおぼえた方はおられるようです。
あたりまえですが工事名称は施主自身ではなく建築の工事の名称です。そして「邸」という文
字には「やしき」「りっぱな家」といった意味があり、ある意味建築に対する敬意が込められ
ているはずです。なのに工事名称の「邸」の前に「様」を付ける。
工事中の建築は厳密に言うと施主の所有とはなっていません。竣工引渡し後に施主の所有となるのですが、たとえ工事中であっても施主が所有する事を前提とした家です。そして工事看板は近隣の方々等へ工事名、設計監理者、施工者をお伝えしているものです。この近隣の方々等へのお伝えは施主と設計監理者と施工者の三者が行なっている行為だと思います。一般的に着
工前には近隣への挨拶を施工会社と同様、施主も行なっていると思います。広義に考えると工
事看板は施主も含めた三者からの近隣への挨拶の延長線上にあるようなものだと思います。施
主から発信しているメッセージでもあるはずです。自分の家の表札に「様」を付ける人はいな
いですよね?
「校長先生」という表現も二重敬語に当たるので本来は誤りとの解釈もあるようです。「校
長」の「長」に既に敬意があるとの解釈からのようです。私はこの解釈も納得いきますがもっ
と分かりやすく言うと「校長先生様」と聞いたら誰でも何か変だな?と思いますよね。
私の場合、この「校長先生様」に匹敵する表現が「様邸」のような感覚です。丁寧な言葉では
なく、バカ丁寧過ぎて逆に媚を売っているようで嫌な表現に感じます。でも、世間一般では既
にあたりまえのように「様邸」がまかり通っているようです。たぶん私は少数派になるのでしょう。でも、でもでも「様邸」は「裸の王様」のはずダ!
この「様邸」という表現の中には仕事に対するスタンスの違
いさえも感じられます。「〜様邸新築工事」という表現には
「うちの会社の「商品である家」をなんとか買っていただき
たい、「商品である家」を買っていただいてありがとうござ
います。えっ、こちらの建築現場でございますか?これは弊
社の「商品である家」でございます。お客様は神様です。」
というニュアンスが感じられます。横で営業マンがニッコリ
笑っている姿が目に浮かびます。
一方「〜邸新築工事」は?・・・アトリエたくでは「なんと
か力を合わせて「あなたの」好い家を作りましょう。そのた
めに私達は全力でサポートさせていただきます。私達は「あ
なたの」好い家を作るための同士でありたいと思います。」
といった姿勢です。
「 〜様邸 新築工事 」が好いと思われる方もいることでしょう。どちらが好いか判断するのは
施主となるあなたご自身です。
○
工事看板
「 〜様邸 新築工事 」は自社の「商品」、「 〜邸 新築工事 」は「施主の大切な家」と
いった視点の違いのような気がします。