「自立」とは何か? 読んで字のごとく「自分で立つ」?

辞書で調べてみますと「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。」とあります。しかし、介護福祉の考えでは少し違ってきます。

では介護福祉でいう「自立」とは?

「どのような支援を受けていても、どのような介助をされていても、生活の過ごし方は自分で決める。」受ける支援や、介助は人それぞれで、その人の残存する能力を最大限に引き出す事が前提となりますが、介護でいう「自立」とは何でも自分でするという概念ではなく、必要な人的、物的な支援や介助を受けながらも自分らしく主体的に生きる事です。これは人間の尊厳に関わる問題となります。


   「花が咲こうと咲くまいと、生きていることが花なんだ」 by アントニオ猪木!

        (完全にパクリです。でも好きになった言葉なので・・・)


先日NHKの番組の「プロフェッショナル」で「介護」のプロフェッショナルの方が出演されていました。この方は認知症の高齢者の方達に出来うる限りの「自立」をと、体を張って実践されている方でした。しかし、その背景には大きなリスクが伴います。この「自立」と「リスク」。この狭間で介護者の方達は思い悩むのだろうと感じました。とても難しい問題で考えても考えてもなかなか答えは出ないのかもしれません。日々模索しながらの自立支援なのだと思います。

私達、建築設計者はここに注意しなければいけないと思います。介護施設等を設計する際、施設運営においての介護方法や方針に「これが正しい介護」で介護施設設計はこうあるべきという正解はないのだと思います。それぞれの現場で環境や人が異なり介護方針も異なるはずです。100の介護施設があれば100の介護方針があるはずです。ですから設計の際、どの仕事も全く始めてする仕事だとの意識が大切だと思います。あたりまえの事なのですが、その現場ごとのきめ細やかなコミュニケーション、打合せを肝に銘じたいと思います。



,   自立  2012.6.29